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「この間、帝が贈ってきたのがあったわよね」
「あっ、あれはお止めくださいっ」
なにをするっ、この莫迦娘っ、と昔のように怒鳴りつけそうになる。
まだ彼女が、斎王でなかった頃のように。
まあ、あの頃もそんな言葉遣いをしてはならなかったのだが。
なにせ、彼女を育てた彼女の祖母がざっくばらんな人だったので。
そのざっくばらんな祖母に同じように育てられた帝も今頃、宮中で苦労しているのではないかと思う。
次の帝までの中継ぎの天皇とはいえ。
中継ぎの天皇か。
だから、本当はあの帝は子どもなど作らぬ方がいいのだろう。
誰かが子を宿そうものなら、呪詛でもかけられそうだと思っていた。
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