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「な、成子様っ。
何故、此処に?」
いや、あんたが何故、此処にだよ、と思いながら、正気に返り、うろたえる道雅を見ていた。
しかし、神というのは、本当に勝手だな。
そう思ったあとで、気づく。
いつかも同じことを思ったことがあったなと。
神というのは、勝手なものだな、といつか自分は思った。
なんだかとても……
とても、遠い昔に。
朝の涼やかな風が、御簾を通り抜けて几帳を揺らす。
成子は、慌てふためく道雅はそのままに、ぼんやり御簾の向こうの明るい庭を見た。
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