見てる……

8/65
前へ
/135ページ
次へ
  「斎王様、あの。  貝撒いてどうするんですか。  見つけて、歌を詠むんですか。  その歌で競うんですか」  既に準備を始めていると言うのに、現れた道雅が矢継ぎ早に文句を言ってきた。  貝合わせの貝は、本来は、鑑賞したり、それを題材にして、歌を詠んだりするためのものだからだ。 「今日は歌は詠まないの。  貝を探すの。  多く見つけた人が勝ちよ」 「そんなのなら、他のものでやったらどうですかっ」  うるさいなあ。  まあ、歌の師匠なんだから仕方ないけど、と思いながら、成子は几帳越しに道雅を見た。  そこから更に、命婦が道雅に言いつける。 「斎王様は、最初は、帝から御下賜いただいたお道具を撒こうとしていらしたんですよ」  やりそうだ、という目で道雅が見た。image=494168776.jpg
/135ページ

最初のコメントを投稿しよう!

248人が本棚に入れています
本棚に追加