見てる……

9/65
前へ
/135ページ
次へ
 道雅がこちらに向き直る。 「斎王様」 「はい」 「もうあのお方は、貴女の従兄でも、幼馴染でもなく、帝なのですよ。  いただいたものはそれなりの扱いをしていただかないと困ります」  ああ、うるさい。  命婦が二人居るようだ、と思った。  そのとき、床下から声が聞こえてきた。 「成子、此処にも撒け。  そして、誰か、見目麗しい若者に取りに来させろ。  私が乗っ取るから」  面倒臭い奴まで、口を出してきた。  成子は、はいはい、と床下の悪霊に適当に答える。  あんた、いつになったら、成仏する気だ、と思いながら。
/135ページ

最初のコメントを投稿しよう!

248人が本棚に入れています
本棚に追加