エピローグ

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 そのとき、ぎゃーっ、と命婦が叫んだ。  みんなが振り返る。 「なっ、なんでもありません。  参りましょう。  さあっ、斎王さまっ」 と命婦は震える手で扇をつかみ、顔を隠して、成子の手を取る。  成子は笑って、 「替えてちょうだい。  その扇と」 と言い、自らの扇を命婦に差し出した。  ……笑ってる。  命婦が手にしていたあの扇には、目があった。  さっきの真鍋と命婦の連携した動きに、怒っているかと思ったが、笑っていた。  っていうか、笑い声まで聞こえてくる。  自分の手を持つ命婦の手はまだ震えていた。  成子は少し笑って、その物の怪つきの扇で顔を覆った。 「さあ、今日こそ、海に参りましょう――」                                             完
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