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「ありがとう、葉月。」
頬にキスをされ、それが本当に今日の終わりを告げた。
どこか生き生きとした輝きさえ見せる恵は、大事そうに猫の服をベッドに並べる。
「ねぇ、それ私が預かっちゃ駄目?」
「ん?いいけど、お願いした時には着けてくれる?」
「着けるから、安心して。」
約束、とキスを交わし、買った袋に詰め込んだ。
ズボンを汚してしまった事に気付かれたくなかったのだ。
「ねぇ葉月・・・最後までしたい?」
扉に手を掛け止まったまま、恵は聞いてきた。顔が下を向いているため、表情は見えにくい。
「したい。けど、ちゃんと待ってるから。」
「・・・・・。」
その頼りげない背中にそっと寄り添った。
「他の人を抱きたいわけじゃないんでしょ?」
「ないよ。葉月以外。」
「なら、尚更大丈夫。安心して。」
「・・・・うん。」
恵が何を不安になってその段階をこえれないのか。ハッキリとは言えないが、なんとなくは理由は分かっていた。
だからこそ、無理強いはしたくない。
「大丈夫、愛されてるってちゃんと分かってるから。」
「いい女だね、葉月って。」
「知らなかった?」
「再認識した。」
向きを変えた恵にぎゅっと抱き締められ、思わず頬が緩む。
ほら、こんなにも私は単純で恵の事が大好きなの。
不安にならないで。
大好きだから。
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