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クリスマス・イブ
その日はカラオケで3時間歌った後、葉月の家で一緒にクリスマスディナーを作った。
ポテトサラダ、骨付き唐揚げ、ホットサンドの具材を適当にお皿に盛り込つけ好きなのを作る。
「こういう時、親が忙しいのって有難いのよね。出張だって。」
「忙しいよね、葉月の両親って。あ、私卵がいい、キュウリも。」
「はぁい。昔は淋しかったけど、今は恵がいるからドンドン行ってって感じ。」
甲斐甲斐しく好みのホットサンドを焼いてくれる葉月は、幸せそうに微笑んだ。
「明日の朝には帰ってくるの?」
「昼過ぎみたい。」
「そっか。じゃゆっくり出来るね。」
もぐもぐとホットサンドを食べながら言うと、葉月は不思議そうに首を傾げた。
「いつも朝早いのに、寝坊する予定?」
「え?だってさすがに初夜の朝にはゆっくりしたいし。」
可愛くシャンメリーをぽんとあけ、グラスに注ぐ恵。
固まっている葉月に、そう言えば何も言ってなかったなとまた後になって気付いた。
「葉月を貰える?今夜。」
「・・・・・・。」
「あ、もしかして、まだその時じゃない?」
葉月の方はとっくに待ってくれてるものだと思ってたけど、違ったかな?
無言の彼女の顔を覗くと、ガタッと立ち上がった。
「お、お風呂入ってきて、いい?」
「え?一緒に入らないの?」
「入る。入る!」
「もう食べなくていいの?」
すると葉月は素早く全てにラップをかけ、お風呂場に手を引いていった。
「やっぱり止めるとか、なしよ?」
「言わないって。」
「さ、最後までしてね?」
どこまで信用がなかったのだろう。苦笑いしながら葉月の背中を洗った。
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