14人が本棚に入れています
本棚に追加
俺は今、電車に乗って友人の家へ向かっている。
先週の土曜日に、久しぶりに突然メールがあったのだ。
たぶん3年ぶりの再会。俺達は、ちょっと気まずい別れ方をしていた。
大学生だった俺達は、ある女性と三角関係にあったのだ。
俺とタカオは、高校からの同級生で一緒に同じ大学に進学し、そこで彼女に出会ったのだ。俺達3人は入学当初は友人だった。
だが、男と女の間には友情というものは存在しなかった。
俺は彼女のことが好きになり、告白した。すると、彼女も実は自分も俺のことを好きだったと答えた。俺たちはその日から付き合うようになった。
だが、彼女はこの3人の雰囲気だけは壊したくないから、タカオには黙っていて欲しい。俺にそう言ったのだ。俺とタカオは親友だから、秘密にはしたくなかったけど、彼女がどうしても、と言うので俺たちはタカオに内緒で付き合っていたのだ。
ところがある日、俺が彼女のアパートに居る時に、タカオが訪ねて来たのだ。
俺はびっくりした。その時、俺と彼女は一糸まとわぬ姿で抱き合っていたのだ。
鍵をかけたはずの玄関から、チャイムも鳴らさずにタカオは黙って侵入し、
立ちすくんでいた。
「やっぱりな。おかしいと思ったんだ。このクソビッチが!」
タカオは激昂して叫んだ。俺は何がなんだかわからなかった。
俺はこの状況に来ても、事態が把握できないほど鈍かったのだ。
「何よ!どうやって入ってきたの?答えなさいよ!」
彼女は逆切れしてタカオに怒鳴った。
「お前の家の鍵を作っておいた。ずっと前からおかしいと思ってたから。
いつか現場を押さえてやろうと思った。だけど、まさか相手がお前だなんて。」
タカオは俺を見て悲しそうな顔をした。
俺はその時点で初めて二股をかけられてたことを理解した。
最初のコメントを投稿しよう!