オマエダ

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「タカオ、違うんだ。俺、お前とこいつが付き合ってるなんて、知らなかったんだ。」 俺は必死にタカオに説明した。すると彼女は悪びれずに言った。 「最初にアンタに告られて、アタシは本当はシンジのほうが好きだったんだけど、シンジはかっこよくてスポーツマンでモテたから高嶺の花だと思ってたのよ。でも、アンタに告られたすぐ後にシンジから告白された。だから、シンジと付き合うことにしたの。ちょうどよかったわ。私と別れて、タカオ。人の家の鍵を勝手に持ち出して、スペアキー作るような男とは付き合えないわ。アタシには、もうシンジがいるから。ねーシンジ。」 彼女は呆然としている俺の腕に裸のままぶら下がった。俺は何も言わなかった。ただただ、この状況が信じられなくて凍りついたままだった。 タカオは黙って出て行った。俺は急いで服を身につけ、彼女を置き去りにしたまま後を追ったのだ。  その日からタカオと連絡が取れなくなった。携帯に電話してもつながらないし、アパートを訪ねても人の気配が無かった。大学にも全く来なくなり、タカオは行方不明になったのだ。 もちろん実家にも電話したが、実家の方にも帰っておらず、ご両親は心配して何かあったのかと俺に尋ねたが、俺は言えなかった。 タカオは3年間行方不明になり、大学は除籍となった。もちろん、俺はあの後あの女とはすぐに別れた。  責任を感じていた。 俺には本当のことが全く見えておらず、あんなくだらない女が何故好きだったかも思い出せない。押し寄せてくるのは、何年も続いた友情を失った後悔だけだった。何度も何度も自分を責めた。  俺に会わなくてもいい。嫌いでもいいから、せめて親には顔を見せてやって欲しかった。俺をいくら責めてもいいから、どこかで無事に暮らしていて欲しかったのだ。  それがつい先週の土曜日、あれからずっと消せなかったアドレスからメールが届いたのだ。タカオからのメールだった。
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