オマエダ

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「久しぶり。元気だったか?俺、今埼玉に住んでるんだ。今度遊びに来ないか?」 そんな軽いノリのメールだった。俺は信じられなかった。信じられなくて涙が頬を伝った。 「心配してたんだぞ?どこに行ってたんだ、今まで。あの時のことは、ホントごめん、悪かった。」 俺はそうメールを返した。 「もういいよ、その事は。俺も大人になった。あれからちょっと旅に出ててさ。今落ち着いたところ。」  そして今日、久しぶりにタカオに会える。俺は嬉しさを隠せなかった。 俺は電車に乗り込み、埼玉に向かった。変わった名前の駅だった。確か・・・。 俺はタカオに言われた駅の近くまで差し掛かったところで、出入り口の電光掲示板を見た。 「次は、オマエダ」 俺は、ドキっとした。次は、オマエダ。カタカナで書いてあって少し恐怖したが、 「そっか、小前田オマエダ」か。 俺はカバンを肩に掛け降りる準備をした。  駅で懐かしい顔が手を振っていた。泣くまいと思ったが、俺は男の癖に泣いてしまった。 「バカだなあ、泣くなよ。俺が恥ずかしいだろ。」 懐かしい笑顔だ。  俺はタカオのアパートに行き、今までどうしていたのかとか、またあの日のことを詫びた。 「もういいって。俺さ、あれから旅に出てさ。大学とか全部なんか行く気なくしちゃって。でも、旅してるうちにさ、俺ってなんてちっちゃかったんだろ、って思ってさ。バイトを転々として暮らしてた。」 俺たちは3年分の積もる話をとりとめとなく話した。  よかった、本当に良かった。今日が俺にとって人生最大の喜びの日になったと思った。ずっとタカオのことばかり考えて、責任をずっと感じてた。俺はその日、人生の過ちの全てを許されたと思ったのだ。
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