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だってよ。
朝、俺と利二が顔を合わせた瞬間、空気が重くなったんだぜ。
朝から暗雲が漂ったっつーの? 空気の読めない二人じゃないから、俺と利二に何があったかは聞かないでくれた。それが俺達にとって凄く有り難かった。
俺は深い溜息をついた。
大喧嘩した後ってどう接していいか分からないよな。
謝ればいいって簡単に口では言えるけど、実際行動に起こすとなると上手くいかないもんだ。変な意地とかプライドとかが邪魔するし。
なんか利二のことを考えると今日一日の授業がめっちゃダルい。
ついでに身体もダルイ。
朝のSHRからダルイって思ったくらいだ。授業なんてもっとダルイ。
一時限目の数学は辛うじて出たけど、二時限目の現社まーじダルイ。寝とけばいいんだろうけど、なんか教室、窮屈なんだよな。現社の後は体育だしさ。
ダルさは頂点に達して、嫌気が差してきた。
表面真面目で通してきた俺だけど、今回は真面目ちゃん無理そう。
マジダルイ。
時計に目をやる。もう二分くらいでチャイムが鳴るな。
俺はギスギス軋む身体に鞭打って席を立った。
「圭太くん、何処行くの? もうチャイム鳴るよ」
透が不思議そうな顔で俺に視線を向けてくる。
俺は曖昧に笑って肩を竦めると、教室を出た。チャイムがそろそろ鳴るってことだけあって、生徒達がそれぞれの教室に戻って行っている。
いつもの俺なら空気を読んで教室に戻るけど、今日の俺、不真面目ちゃんだから! あくまで気持ちだけだけど!
横一列に並ぶ教室たちの前を素通りして、さっさと階段に向かっていると名前を呼ばれた。
振り返れば、教室にいたヨウが窓から身を乗り出して俺の方を見てくる。ヨウの奴、今日は真面目に朝から学校に来ていたんだな。って、思った瞬間、チャイムが鳴った。
やっべぇ、早くココからトンズラしねぇと先生来ちまう! 真面目ちゃん通してきた俺にとって、実はサボるって行為はドッキドキバクバクだ。
現に今、スッゲェ心臓鳴っている。
そんな俺を余所にヨウが声を掛けてくる。
「ケイ、昼飯一緒食おうぜ」
「いいよ。いつもの場所だろ? ってか、俺、早く行かないとヤバイんだけど。先生に見つかったらマジヤバイ」
「相変わらずクソ真面目だな。ケイ」
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