04. 成行き舎弟だとしても

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「なあなあ貸してくれるの? なあなあ!」 「ちょッ、纏わり付くなってッ……モト、今、断っただろ」 「断ってねぇよ! 舎弟は認めてねぇけど、アンタの自転車の腕は認めたし! なあなあ、さっきの話! ケイ、ケイ先輩!」 「……ケイ先輩って」 今更。お前、今更。 「おい、ケイ。モト。その話は」 「オレ、ゲーム大好きなんだって! 金ねぇから買えねぇけど、ゲーム大好きなんだって!」 「大好きっつーのは分かったけど、今」 「断ってねぇって! 先輩の意地悪!」 男の脹れ面に俺は萌えないからなモト。 「おい……ケイ、モト」 「なあー今貸してくれるって言ったよな。な」 「うわっつ、ゆ、揺らすなって! チャリ倒れるだろ!」 「テメェぇええ等、俺をシカトしてんじゃねえ! ゲームの話はゲーセンでしやがれ! モト、邪魔だ! ケイ、さっさと出せ!」 ヨウの怒りにモトはサッとチャリから退き、俺は素早くペダルを漕ぎ始める。 怒られた。不良からッ、舎兄から怒られた。やっぱ不良恐ぇえええって! ビビる俺を余所にモトはヨウの怒りよりも、ゲームを貸してくれるかどうかの方が気になるらしく「ゲーセンで話そうな! センパーイ!」後ろから声を掛けてきた。 モトって調子がイイっつーか、ご都合主義者だろ! 先輩とか、どの口がそんなこと言っているんだ? 俺達の様子にワタルさんの笑い声が、シズの欠伸が聞こえた。
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