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玲也くんに言われて、お風呂に入った。
私が髪の毛を乾かしている間に玲也くんがお風呂に入り、そのあと一緒に受験勉強をした。
「…あのさ、美玖」
受験校の過去問を解いていると、声をかけられた。
「うん?」
「ごめんね、俺…不器用で、美玖のこと幸せにできてんのか全然わかんないや。舜みたいにかっこよくないし、女子をキュンとさせるギャップもないし、誰かと付き合った経験もないし…」
問題集の上にシャーペンを転がし、玲也くんがうなだれる。
「そんなことないよ。私は、玲也くんのことかっこいいと思ってるし、ギャップだけが全てじゃないよ。それに、今私、幸せだよ?」
玲也くんの顔を覗き込むと、玲也くんが頬を赤くするのが見えた。
「でも…」
「それに、私…幼稚園の時、玲也くんのこと好きだったんだよ?」
ニックネームがゼロだった玲也くんに好きな人を聞いて、“可愛くて守ってあげたくなる子”だと聞いたとき、ショックを受けたのを覚えている。
「過去形…」
「もちろん、今だって、好きだし」
玲也くんは顔を上げ、「ありがとう」と小さな声で言った。
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