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そっちじゃないって?
私は、赤城くんを見た。
「雨宮と舜」
「そ、それって、知る意味あるのかなぁ」
もう、過ぎた話だよ。
今更そんな話をしたって――。
「そりゃ、俺は部外者だけどさ。二人が別れた後の部活で、舜かなり荒れてたから気になって」
赤城くんがポツリと言った。
それから、「先買っていい?」と私の返事も待たず、コイン投入口に120円を入れ、グレープフルーツの炭酸飲料を購入する。
「舜が荒れてたって…?」
「そのまんまだよ。美玖にフラれたって、人がいないところで泣いてたんだ。食欲も落ちちゃって、クリスマスパーティの時に好きでもない相手と二人でヤケクソになって出かける始末」
それで相手泣かせて殴られて大変だったんだから。
赤城くんがペットボトルのキャップを開けながら言った。
クリスマス、エイオンで舜と美織さんを見かけたことを思い出した。
「そんなこと…あったんだ」
「その次の日には、美玖が幸せになれるなら諦めるって言ってたけど、アイツ全然諦めてねーよ」
赤城くんが小さく笑った。
「…舜って、美織さんと付き合ってるんじゃないの?」
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