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あの二人はお似合いだし、仲よさそうだし。
私が言うと、赤城くんは瞬きを数回し、「はぁ?」と聞き返してきた。
「美織と舜が付き合う?そんなことあるわけないって」
「そうなの?私、舜は美織さんが好きなんだって思って、それで別れを告げたんだ…」
――私、舜といるといつもドキドキしてた。舜のことが好きだから。でも、それ以上に、いつ別れることになるか、他の人に気移りされるか心配で、だからドキドキしてたんだ。
クリスマスイブの夜、舜に告げた言葉を思い出した。
「バカじゃん」
赤城くんがキャップを閉めながら言った。
「え?」
「アイツが好きなのは、前も今も、ずっと――」
赤城くんが口を閉ざした。
直後、
「何、まだ買ってなかったの」
舜が自販機の前にフラッと現れた。
「迷ってて」
「こういう時、優柔不断だもんな、美玖は」
そう言って、舜は私の手から120円を引っ手繰った。
そして、オレンジ味の炭酸飲料のボタンを迷わず押す。
「え!?ちょ、何やって…」
「こういうのは、パッと決めたらいいんだよ」
出てきたジュースを私に持たせ、舜はニッと笑った。
「次、美玖の番だから。早くレーンに戻りな」
「あ、ありがとう」
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