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「こうやって、二人で出かけるの、久々だよな」
舜が沈黙を破って言った。
傍を車が通り過ぎていく。
「…そうだね」
「美玖はさ、玲也のことまだ好きなの?」
舜に聞かれ、私は足を止めた。
そう聞かれると、よくわからなかった。
私が好きなのが、舜なのか、玲也くんなのか。
言ってしまえば、“どちらも好き”という最低の答えしか出ない。
「…わかんない」
私は答えた。
でも、一つ言えるのは、舜のことがまだ好きだと言うこと。
「俺のこと、まだ好き?…なんつって。こんなこと聞くなんて、どうかしてるよな」
舜がアハハと誤魔化し笑いをする。
「…私、玲也くんと付き合っているときに、何かあるたびに、舜のこと想いだしちゃって、玲也くんのこと傷つけちゃったんだ」
LINEを開いた。
暗い中、スマホの画面がやけに明るい。
玲也くんが今朝、送ってきたLINEの中に、こんなメッセージがある。
“君が、舜のことを忘れられないこと、わかってる。だって君はまだ、舜のことが好きなんだから。”
「…たぶん、私はまだ、舜のことを忘れられてない…」
何言ってんだろ。
何がしたいんだろ。
別れを告げたのは私の方なのに。
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