★FIVE★

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家には案の定誰もいなかった。 「…そういえば、玲也くん、進路のことで何か悩んでるの?」 私が聞くと、玲也くんは「え?」と目を瞬かせた。 「何か、奈々ちゃんに進路のこと聞かれたとき、何か悩んでいるように見えたから」 違ったらごめんね。 私が言うと、玲也くんはフッと小さく笑った。 「…参ったなぁ。気付かれてたか」 やっぱり、悩んでたんだ。 私は驚いた。 それと同時に、付き合いの長さを実感した。 「何かあったの?」 「実は俺、バスケ部をやめるよう、父さんに言われていたんだ。でも、どうしてもバスケをしたいって言い続けてた。結局、バスケ部を引退したらすぐに勉強漬けの毎日になるのを条件に、バスケ部に居続けてるんだけど」 玲也くんが頭を掻いた。 部屋に入ってからも、ずっと小声で「いやぁー、気付かれてたなんて、参った参った」と呟いている。 「でも、勉強漬け…って…」 「俺の家、親が親なもんだから、勉強には厳しくて。受験も、親が出たのと同じ国公立の大学に行くよう言われてるんだ」 そういえば、去年も…塾に夜9時から通っているという話を聞いたっけ。
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