58人が本棚に入れています
本棚に追加
「じゃあ、勉強漬けってことは、部活を引退したらなかなか遊びに行けないってこと?」
「…うん。放課後は、毎日塾を入れられてる」
そっかぁ…。
なかなか遊びに行けないのは、寂しい。でも、そんなことを言ったら、玲也くんを困らせてしまう。
「頑張ってね」
ベッドの上に座って、ぬいぐるみを突いていた玲也くんが、顔を上げた。
「もちろん。美玖と過ごせる大事な時間を、受験勉強に費やすんだから、絶対合格してみせるよ」
「うん!」
それっきり、会話が途切れた。
ベッド脇に置いてある目覚まし時計が時を刻む音だけが、静かな部屋に響く。
舜と付き合っていた時は、会話が途切れるなんて滅多になかった。
舜がちょっかいを出してきたりして、話題を作ってくれたから。
1年前のことを思い出しかけ、私はハッとした。
この前まで、思い出しそうになることなんてなかったのに、どうして今日に限って。
舜とは別れて、友達になったんだから。
付き合ってた時のことは忘れなきゃ。
「あ、そうだ。お風呂入る順番どうする?」
最初のコメントを投稿しよう!