君と同じ

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「あの、大丈夫ですか」 座り込んでいた俺に誰かが声をかけた。 道の端に寄るべきだったな、なんて思いつつ口を開くのも億劫で首をゆるく横に振った。 いらない心配だ。 人ごみに酔って吐き気を催してしまうことは俺にとって頻繁にあるものだし、こうしてしゃがみこんだら時間はかかるが段々収まることも分かっていた。 でも少し声をかけてくれて嬉しい、なんて思う人間味のある心もあることは確かだった。 しかしずっと背中をさすって心配してくれてるためそろそろ大丈夫だと伝えなければならない。 背中をさすってくれていた手をそっと払いのけ顔を上げると彼の顔がよく見えた。 眉を八の字にしこれでもかと言うくらい甘い顔の持ち主がこちらを覗いていた。 よく見ればミルクティーのようなふんわりとした髪に青空を写したような瞳をしているのに気づき咄嗟に顔を隠した。 ぜったい顔赤くなった! 見ず知らずの他人に弱点を見せたくなくて顔を逸らしたのを勘違いしたのか、また心配そうな顔をした。
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