67人が本棚に入れています
本棚に追加
/111ページ
それは意外な一言だった。
そしてその後にはもっと辛辣な言葉を聞かされた。
「私さ。モテるって分かったの。あの後医者からもメール来て。他の人からもメールきてね。先生だけじゃないって思ったら、気が楽になったというか、オープンな気分になったの。そうしたら、先生なんてどうでもいっかなって。月収少ないし、顔だけだし」
「ちょっと。何それ! 私は、私はあきらめたんだよ!」
そう言うとお姉ちゃんは鼻で笑った。
「フラれたんでしょ」
得意気に言うお姉ちゃんは、私の知ってるお姉ちゃんじゃなかった。
自信に満ちて、何にも揺るがない人になっていた。
婚活がそうさせたのか。
もともとそういう性格だったのか分からない。
一緒に来て欲しいと懇願するような、そんな人ではなくなっていた。
「お姉ちゃんの馬鹿!」
「馬鹿って言われる筋合いない」
私は自分の部屋に入り込んだ。
そして、溢れる涙を必死に堪えた。
最初のコメントを投稿しよう!