第1章

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「雹さんは、深見先生の最後の愛弟子だったの。 それでホトホト困っていた時、 美鈴さんが神様から神託を受けたの!」 「へえ」(神託と来ましたか) 「次に特練棟に来る若き狩人が魔王を打ち滅ぼすであろう、ってね」と言って、麗子は一十三を指さした。 「え?ええっ!私?私の事ですか?」 「若き狩人」 「そんな、まっさかあ。もう、麗子さんってば、冗談ばっかり!」 「うーん、神様もなかなかいいネーミングよねえ。スリングショットの達人だから、狩人。そのまんまやん」 「ねえ麗子さん。ジョークですよね?ジョークなんですよね?」 「今日のあの皆の様子。ありゃマジだね、うん」 「そんな真面目な顔しないでください!ねえ、麗子さんってば!」(まだ言わなきゃ良かったかな)と、麗子は少し後悔したが (ちょっと面白くなってきたな)とも思っていたのだった。    特殊精神訓練棟、通称「特練棟」では、一十三が帰った後、 再度全員が集まっていた。 深見「想像以上だったな」 神田「ええ。素晴らしい素質ね」 大山「あれは相当長い年月の修練の賜物ですね」 小田「うん。あれは狙って撃っているというより、 第一の神人合一の『境地』で撃ってますね」 陸奥「ええ。天眼通力、天耳通力、他心通力、宿命通力、運命通力、漏尽通力。六大神通力全てを駆使して 『スリングショット』という一つの道の中で、 見事に神人合一していましたね」 神田「彼女、前世で弓の達人だったのよ。 他にも様々な武道や学問、芸術を極めてるわ」 深見「うん。一十三くんは色んな道を極めてるね。 スリングに限らず、料理でも音楽でも技術開発でも、 一つの道を極めてゆけば、自分でも気づかない内に、 自然と六大神通力を使いこなしているものだ。 世間一般の人達は、神通力というと、宗教家だけの専売特許の様に勘違いしてるんだけどね」 神田「ええ。それに、前世で超一流を極めてると、 現世でも超一流にしか興味が湧かないものなのよねえ。 一十三さん、学校がさぞかし退屈でしょうね」 陸奥「それにしても、大山くん。 一十三さんの撃つ弾のスピード、凄くなかった?」 大山「ええ、凄いなんてもんじゃないですよ。 普通、市販のスリングって、 強力な物でも時速三百キロくらいなんですけど、 一十三さんの撃つ弾のスピードは時速千八百キロを超えてました」
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