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2人に癒され、俺は何とか気を取り直して自宅アパートに帰った。 今日は仕事が休みだから、洗濯に掃除、それから買い物…といつもの調子で考えていたが、部屋に入った途端、気分が悪くなった。 俺の部屋には健志が使っていた物が山ほどあった。 あいつの服、専用の灰皿、気に入りのCD、カップに歯ブラシ、勿論、枕も。 「くそっ!」 俺は枕を壁に叩き付ける。 そして、今日こそ捨ててやる、と意気込んだ。 ビニールのゴミ袋を引っ張り出し、そこへ奴の私物を放り込んで行く。 ゴミ袋が一杯になる。 俺は新たに袋を取出し…。 そこでやめた。 片付けすら嫌気が差した。 俺はテーブルの上から車の鍵を掴み取り、駐車場に向かった。 気が付くと、河川公園に来ていた。 ここは遊歩道や東屋の他にバーベキュー用のスペースも用意されていて、週末ともなれば多くの人で賑わう市民の憩いの場所だ。 今日は平日のせいか人影は疎らで、心を落ち着かせたかった俺にはちょうど良かった。
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