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それにしても…。 荒潟が連れている犬は、10匹ほどいた。 こんなに飼っているなんて、相当犬好きなんだろう。 「荒潟さん、家族みんな犬好きなんですね。」 「え?」 荒潟が不思議そうに俺を見る。 …何でそんな顔するんだ? すると、彼が言った。 「俺は猫が好きだ。」 「は?…でも、こんなに犬が…。」 「このハスキー犬のハイド以外、俺の犬じゃないよ。 代行散歩してるだけだから。」 俺は漸く状況が呑み込めた。 秋吉店長が言っていた言葉を思い出す。 荒潟知巳は何でも屋。 犬の代行散歩も、彼の仕事なんだろう。 ハイドと呼ばれた大型犬は、嬉しそうに尻尾を振っている。 四肢はしっかりしているし、耳もピンと立って、遠目には精悍な姿だ。 しかし、真っ先に俺に飛び付いた時と同様、へらへらと喜んでいる顔がアホっぽい。
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