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土曜日、秋吉店長から来店の誘いのメールが届いた。
俺は明日から夏期休暇に入るが特に予定はなく、店長自ら来て欲しいと頼んで来るのも稀であり、直ぐに了承してメールを返した。
何かのパーティーかな?と思ったが、俺はいつものようにシャツとジーンズ姿で店に行く。
中に入ってみると、特に変わった様子は無い。
まだ時間も早くて、店内には俺の他にもう1組のゲイカップルしかいなかった。
ちょっと落ち着かなくてそわそわしていると、副店長の亮がカウンター越しに俺に話し掛けて来た。
「荒潟さんはもうすぐ来ますよ。
それまで僕で良ければお相手します。」
「え?荒潟さん?」
何の事か分からず目を瞬かせると、亮も目を見開いて言った。
「将平さん、今日は荒潟さんと約束があるんでしょう?
そう店長から聞いて、僕が早出したんですよ。
他のバーテンには任せられないですからね。」
「え?えっ?何の事?」
慌てる俺に、亮も不思議そうな顔をする。
「あれ?将平さん、何も知らないの?」
「うん。」
途端に、亮が苦笑した。
「なるほどね。
店長の策略か…。」
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