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入って直ぐにコンクリートの土間があり、横に靴箱が置かれていた。 が、靴は脱いだままの状態で転がっていた。 長靴、スニーカー、安全靴、ブランド物のショートブーツ。 ここで既に何でも屋の顔を覗いた気がしたが、土間の向こうに広がる空間を見て驚いた。 天井が高く、間仕切りの無い広い部屋。 右側の壁一面が本棚になっていて、見上げるとぎっしり本が詰まっていた。 手前にはソファーとテーブルのこじんまりとした応接セット。 隣にパソコンやファックス、業務用プリンター等の仕事用と思われる事務機器が置かれている。 突き当たりにはキッチンがあった。 ぐるりと回された換気ダクトや上からぶら下げている鍋やフライパンが、レストランの厨房を彷彿とさせる。 冷蔵庫やシンクも家庭用には見えない。 それにしても、蔵の中なのに解放感に溢れている。 上を見ると吹き抜けの天井には天窓があり、そこに星空が輝いていた。 蔵には2階もあった。 2階と言っても、本棚と反対側の壁面に取り付けられた簡易階段を上った先にあるロフトで、キッチンのちょうど真上だ。 そこが寝室だと、荒潟が教えてくれた。
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