2.

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荒潟がご馳走してくれたのは、ニジマスとヤマベの燻製だった。 燻製は美味いし、変な家なのに居心地が良くて、勧められるままグラスに注がれたビールを飲む。 ハイドは俺の隣に陣取り、甘えた声でおこぼれを強請るが、食わせてやりたいのを我慢して無視を決め込む。 すると、荒潟が犬用のビーフジャーキーを俺にくれた。 ハイドが大喜びして俺の手からおやつを貰う。 その顔を見ていると、俺も嬉しくてニヤけてしまった。 可愛いなあ、と思いながらハイドの頭を撫でていた俺だが、ふと、もう一匹の存在を思い出す。 猫はどうした? 「荒潟さん、ジキルは?」 「どこかにいるよ。」 荒潟が視線を彷徨わせながら言う。 「用心深くて、滅多に人前に現れないんだ。」 「それって、俺がいるから?」 「うん…。」 彼はなぜか、困ったように口籠もった。 「猫の気まぐれ、なんて可愛いもんじゃないくらい変わってるんだ。 だから、ジキルの事は気にするな。」 ペットは飼い主に似るって言うもんな、などと考えていると、また荒潟にじっと見られた。 彼は人の心が読めるんじゃないかと少し焦ったが、それとは逆に、どんどん魅了される自分がいた。
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