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さっきまでその気だったのに、今更嫌だとは言えない。
だが正直、俺はびびっていた。
健志以外の相手とセックスした事がないのに、相手はノンケだ。
ゲイなら手荒な事をしてもいいと思う奴は大勢いるし、乱暴されたら体格差があり過ぎて逃げられない。
俺は急に怖くなった。
突然、荒潟が力を緩めた。
そして、俺の頭をそっと撫でて言った。
「嫌ならしない。」
荒潟は俺の隣に寝転がり、でも腕は絡めたままで、ぴったりとくっ付く。
彼の黒髪から夏の匂いがする。
そして、心臓の鼓動。
力強く波打ち、俺の鼓動と重なる。
俺の緊張は徐々に解れ、彼の腕の中が心地良く感じるまでになった。
「…いいよ。」
俺の口から、自然と言葉が漏れる。
「荒潟さんとなら、セックスしてもいい。」
荒潟がむくりと起き上がり、俺の上に跨った。
そして、着ていたTシャツも脱がす。
上半身裸になってしまった。
彼と比べて、色は白いし貧弱な体。
「細いな。
肋骨も浮いてる。」
荒潟に指摘され、俺は恥ずかしくて顔が赤くなるのを感じた。
すると彼は
「大丈夫、大丈夫。」
と宥めるように言い、俺の首にキスをする。
…ノンケの男に気を遣われている。
この状況ってどうなんだ?
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