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慣れない仕事に疲れて思わず溜め息をついてしまった俺に、荒潟が缶ジュースを手渡して言う。
「お客さんがくれたんだ。
弁当の差し入れもあるから、休憩しよう。」
俺達はテントの奥に丸椅子を並べ、そこに腰掛けて昼食を摂る。
豪華な幕の内弁当で、腹が減っていた俺は大喜びで飯を食った。
荒潟も飯を食いながら俺に言った。
「俺の知っている営業マンはチャラい奴らばかりでさ。
まあ、俺がこんな男だから相手も調子を合わせてくれているんだろうが、実はちょっと苦手でね。
でも将平は真面目だよな。
俺はそう言うの好きだよ。」
告られたんじゃないと分かっていても、やっぱりドキドキしてしまった。
それで、声も小さくなった。
「…俺、元々営業じゃないんだ。」
「え?」
「営業になったのが1年前で、それまでは現場で清掃作業やってたんだ。
本当はそっちの方が得意なんだけど、うちの会社、小さいし給料も安いから、営業が次々辞めてっちゃって…。
それで古株の俺が営業やる事になったんだ。」
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