3.

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下を向いたまま弁当を口に入れていると、荒潟が言った。 「将平、やっぱおまえって面白い奴だな。」 え?と思った。 こんな返事は初めてだった。 「…荒潟さんも相当変わってるよ。」 「そうかな?」 荒潟は不思議そうに首を傾げ、ジュースを飲む。 俺は何だか嬉しくなって、弁当を全部平らげた。 午後6時になり、陶芸市は終了した。 俺達は残った陶器をトラックに積み込み、それからテントを畳んでゴミ清掃を行う。 マナーの悪い客は殆どいなかったようで、広場の掃除は直ぐに済んだ。 畳んだテントは公園管理職員が運び出していたが、気付けばそこに荒潟も参加していた。 彼は率先して重い荷物をトラックへ積み込み、時々、彼らと笑顔で談笑していた。 荒潟は終始、人気者だった。 得体の知れない人相や風変わりな言動で初対面の人間はちょっと引くようだが、それでも自分らしさを貫く彼に魅力されてしまうらしい。 何より、彼は優しかった。 気遣いと言う言葉が似合わないほど、自然にみんなの役に立っている。 荒潟の笑顔の先には、やはり多くの人々の笑顔がある。 俺はただ、羨望の眼差しでそれを眺めた。 いいな、と思った。 俺も、彼が好きだ。
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