23.

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するとゲイ友はニヤニヤし、俺の耳元に口を寄せて言った。 「セックスもしたいって。 だからその前にデートしようって。」 俺の頭の中でその彼と恵巳が重なり、思わず呟く。 「…ノンケと本当に恋愛出来るの? 裸になった途端、無理だって言われて…。」 「え?荒潟さん、最初は拒否ったの?」 ゲイ友は俺が想像した相手を勘違いしている。 でもそれを良い事に、俺は誤解されたまま話しを進めた。 「一度は男を抱けないって自覚したノンケがキスして来るのって、どう言う気持ちなんだろ?」 「好きだからじゃないの?」 「好きって…。 セックス出来ないのに?」 「ええっ?荒潟さんとセックスしてないの?」 「…。」 漸く、ゲイ友が気付いて言った。 「将平の言ってる相手って、荒潟さんじゃないな? いつの間に他の相手と…。」 そして、急に目を丸くして叫んだ。 「あっ!メグくんか?」 俺は慌てて 「声がでかい!」 とゲイ友を叱り、テーブル越しに顔を寄せて言った。 「恵巳が何考えてるか分からないんだよ。 俺を兄貴代わりに慕ってくれてるのかと思ったけど、誘ったり、拒否ったり、キスしたり…。」 「それって、まるっきり恋愛じゃん。」 ゲイ友の言う通りだ。 俺は彼に翻弄され、悩んだりドキドキしたりを繰り返している。 恐れていた事が現実となった。 いや、元よりそんな兆しはあり、俺が気付かない振りをしていただけだ。
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