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するとゲイ友はニヤニヤし、俺の耳元に口を寄せて言った。
「セックスもしたいって。
だからその前にデートしようって。」
俺の頭の中でその彼と恵巳が重なり、思わず呟く。
「…ノンケと本当に恋愛出来るの?
裸になった途端、無理だって言われて…。」
「え?荒潟さん、最初は拒否ったの?」
ゲイ友は俺が想像した相手を勘違いしている。
でもそれを良い事に、俺は誤解されたまま話しを進めた。
「一度は男を抱けないって自覚したノンケがキスして来るのって、どう言う気持ちなんだろ?」
「好きだからじゃないの?」
「好きって…。
セックス出来ないのに?」
「ええっ?荒潟さんとセックスしてないの?」
「…。」
漸く、ゲイ友が気付いて言った。
「将平の言ってる相手って、荒潟さんじゃないな?
いつの間に他の相手と…。」
そして、急に目を丸くして叫んだ。
「あっ!メグくんか?」
俺は慌てて
「声がでかい!」
とゲイ友を叱り、テーブル越しに顔を寄せて言った。
「恵巳が何考えてるか分からないんだよ。
俺を兄貴代わりに慕ってくれてるのかと思ったけど、誘ったり、拒否ったり、キスしたり…。」
「それって、まるっきり恋愛じゃん。」
ゲイ友の言う通りだ。
俺は彼に翻弄され、悩んだりドキドキしたりを繰り返している。
恐れていた事が現実となった。
いや、元よりそんな兆しはあり、俺が気付かない振りをしていただけだ。
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