3.

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「将平!」 急に名前を呼ばれ、我に返る。 荒潟が汗塗れになったシャツの胸元を扇ぎながら、俺に向かって言った。 「残った陶器と売り上げ金を陶芸家さんの所に持って行くぞ! 夕飯に有り付けるから早く来い!」 俺は事情が分からなかったが、急いで彼のトラックに乗り込んだ。 俺は窯元さんと陶芸家さんが同一人物だとばかり思っていたが、それは間違いだった。 食器を作ったのは嘉門(かもん)と言う陶芸家で、奥さんはカフェを営んでいた。 古民家を改築した趣のあるカフェは、道産のオーガニック素材を使った料理が人気だそうだ。 店内にはご主人の陶芸作品も陳列されていて、購入も可能。 裏手には工房もあり、そこで週に一度、陶芸教室が開かれている。 「工房の電気窯じゃ、大量の焼き物は仕上がらなくてね。 大きな作品も、あの窯元さんの所で焼いて貰っているんだ。」 嘉門さんが笑って言う。 まだビールをグラス1杯しか飲んでいないのに、顔が真っ赤だ。 「ペースが速いわ。」 奥さんがテーブル席にやって来て、旦那の額をぺちっと叩く。 嘉門さんは 「痛い!」 と文句を言うが、奥さんは知らん顔。 さっさと厨房に戻ったと思ったら、俺達に次から次へと料理を出してくれた。
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