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俺が目を瞑って仰向けに寝ていると、キッチンの方から走り回る足音が聞こえて来た。
ハイドだ。
どうもジキルに追い駆けられているようで、突然
「キャン!」
と泣き声がした。
引っ掻かれたかな?と思った途端、物凄い勢いで俺の上にハイドが飛び乗って来た。
「重っ!」
俺は苦しくて押し退けるが、ハイドは俺とソファーの隙間に、そのでかい体を潜り込ませようと必死だ。
その時、気配がした。
ハイドも察知して、慌てて応接スペースから逃げ出す。
重石が無くなり、漸くソファーから体を起こした俺の目に、真っ白な猫の姿が映った。
毛は短く、四肢がすらりと長い。
三角の耳をぴんと立て、透き通るような青い眼で俺を見つめている。
猫は背凭れにちょこんと座っていた。
俺の目と鼻の先だ。
「わあっ!」
驚いて引っくり返るのと同時に、猫もひらりと飛び上がってテーブルに着地する。
そして振り返り様、俺をじっと見た。
「な、何だよ、ジキル…。」
すると猫は
「ニャア。」
と鳴き、あっと言う間に2階に駆け上がって行った。
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