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気持ちが冷めるのと同時に、俺の体も萎えた。
荒潟が、あれ?と言うように俺を見る。
俺は慌てて彼に背を向けて言った。
「明日も朝から仕事だろ?
もう寝ないと起きれないよ。」
すると、荒潟が平然と答えた。
「じゃ、明日はちゃんとセックスしような。」
昨晩はオーラルセックスで終わっていた。
だが、例えゲイカップルでも、手扱きや素股だけでセックスしている恋人同士だっているのだ。
だから『ちゃんとしたセックス』なんて決まりは無いのだが、そこはノンケ。
穴に突っ込まなきゃセックスした気になれないんだろう。
ふと横を見ると、荒潟は既に眠っていた。
俺はその寝顔を見ながら考えに耽る。
俺はセックスが好きだけど、心を許せる相手じゃなきゃ嫌だ。
友達よりもっと親密な…。
やっぱり恋人じゃなきゃダメなんだ。
『もっと気楽に考えろよ。』
もう一人の俺が囁く。
『信じていたパートナーに裏切られたんだ。羽目を外したって良いだろ?』
荒潟は魅力的な肉体の持ち主で、彼に触れれば俺の身体は直ぐに反応する。
それに素直に従って、セックスを楽しめば良いじゃないか。
そうしたら…。
そのあと、何か変わるだろうか?
遠くで『ニャア。』とジキルの声が聞こえた気がする。
でも俺も眠りに落ちる寸前で、姿を確かめる事は出来なかった。
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