3.

18/18

1494人が本棚に入れています
本棚に追加
/507ページ
気持ちが冷めるのと同時に、俺の体も萎えた。 荒潟が、あれ?と言うように俺を見る。 俺は慌てて彼に背を向けて言った。 「明日も朝から仕事だろ? もう寝ないと起きれないよ。」 すると、荒潟が平然と答えた。 「じゃ、明日はちゃんとセックスしような。」 昨晩はオーラルセックスで終わっていた。 だが、例えゲイカップルでも、手扱きや素股だけでセックスしている恋人同士だっているのだ。 だから『ちゃんとしたセックス』なんて決まりは無いのだが、そこはノンケ。 穴に突っ込まなきゃセックスした気になれないんだろう。 ふと横を見ると、荒潟は既に眠っていた。 俺はその寝顔を見ながら考えに耽る。 俺はセックスが好きだけど、心を許せる相手じゃなきゃ嫌だ。 友達よりもっと親密な…。 やっぱり恋人じゃなきゃダメなんだ。 『もっと気楽に考えろよ。』 もう一人の俺が囁く。 『信じていたパートナーに裏切られたんだ。羽目を外したって良いだろ?』 荒潟は魅力的な肉体の持ち主で、彼に触れれば俺の身体は直ぐに反応する。 それに素直に従って、セックスを楽しめば良いじゃないか。 そうしたら…。 そのあと、何か変わるだろうか? 遠くで『ニャア。』とジキルの声が聞こえた気がする。 でも俺も眠りに落ちる寸前で、姿を確かめる事は出来なかった。
/507ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1494人が本棚に入れています
本棚に追加