4.

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俺は、急にやけくそになって答えた。 「そうかもしれないけど、もう終わった事だから。 また違う楽しみを見つけるよ。」 「怒るなよ、将平。」 荒潟が俺の肩に手を置いて言った。 「俺はそいつを想い続けたって良いと思う。 もし腹が立つなら、仕返しすれば良い。 俺の前で大泣きしたって…。」 「泣かないって。」 泣いている所を見られたくせに、俺は意地になって言った。 「俺の事、どんだけガキ扱いなんだよ?」 「いいじゃん。 俺もガキだし。」 そして彼はゴミ袋を掴んで玄関に向かい、 「家帰って風呂に入ろう。」 と言った。 荒潟が手にしているのは、健志の私物が入ったゴミ袋だ。 俺は慌てて追い駆け、彼の手を掴む。 「ちょっと待てよ! それ、どこに持って行くんだよ?」 荒潟がゆっくり振り返って答える。 「ゴミだろ? 捨てるんだよ。」 「今日、ゴミ収集の日じゃないから…。」 「捨ててやるよ。 俺の仕事で出た業務用ゴミと一緒に出してやるから。」 俺の目の前で、袋が引き擦られて行く。 待ってくれ。 まだ駄目だ。 捨てないでくれ!
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