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指の感覚が、健志とは全く違った。
節が張って力強い男の指。
中を抉られ、俺の喉から声が漏れてしまう。
荒潟が興醒めするのを恐れていたが、彼の方も興奮してくれているようで、熱い息が首筋に掛かった。
「気持ち良いか?」
彼に耳元で囁かれ、俺は、うん、と頷く。
指が抜かれると、今度は硬くて太い塊が俺の中に入って来て、その後は何を訊かれても喘ぐばかりだった。
目を覚ますと、天窓の向こうは真っ暗で、下からぼんやりと明かりが漏れていた。
俺は重い体を引き摺り、ロフトの柵までやって来て下を覗いた。
荒潟がパソコンに向かって座っている。
小さなライトで手元を照らし、慣れた手付きでキーを打っていた。
足元にはハイドが蹲っているが、やはりジキルの姿はない。
ハイドが俺に気付き、顔を上げて尻尾を振る。
荒潟も振り返り、伸びをして言った。
「腹減ったろ?
何食いたい?」
今から作るつもりなのだろうか?
コンビニ弁当でいいと思ったのに、なぜか俺の口から料理の名前が飛び出した。
「グラタン。」
まずい事を言った、と後悔したが、いくら料理上手の荒潟でも、面倒だと断るだろう。
ところが、彼は椅子から立ち上がり、
「エビとチキン、どっちが良い?」
と訊いて来た。
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