4.

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俺は柵から身を乗り出し、大声で言う。 「グラタンじゃなくて良いよ! カップ麺でも何でも…。」 「バカ野郎!」 突然、荒潟に怒鳴られた。 俺は何が彼の逆鱗に触れたか分からず、ぽかんとする。 料理上手な相手にインスタントラーメンでいいと言ったのが悪かったのか? 或いは、カップラーメンにアレルギーでも…? それにしても様子が変だ。 怒っている割に貧血でも起こしているみたいに顔が青い。 荒潟が急に勢いを無くして言った。 「将平…。 柵から離れろ。」 「え?もしかして、この柵壊れてんの?」 「いや。でもおまえは度々そうやって身を乗り出すだろ? いつか落っこちるかもしれないと思うと…。 とにかく、頼むから離れてくれ。」 俺は漸くぴんと来た。 荒潟は多分…。 「荒潟さん、高所恐怖症?」 図星だ。 彼は誤魔化そうとしたが、顔に書いてある。 荒潟が観念してぼそぼそと言った。 「恐怖症まで行かないが、高い所は得意じゃない。 特に、自分より他人が危険行為をしているのを見ると心臓が凍る。 …だから、早く下りて来い。」 スウェットのズボンしか穿いていなかった俺は、彼の機嫌を損ねないように急いで上着を頭から被り、階段を下りた。
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