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ダイニングテーブルで荒潟が作ってくれたグラタンを食べながら、俺は彼に言った。
「よくロフトで寝れるな。」
「…1人の時はソファーで寝てる。」
「へえ…。」
俺は荒潟の弱点を見つけた気がして、調子に乗って意地悪く言った。
「今日もあんな脚立に乗って仕事してたけど、本当は足ガクガクだったんだろ?」
荒潟は否定せず、フォークでエビを持ち上げながら尋ねる。
「おまえは平気なの?」
俺は自信を持って答えた。
「俺は大得意。」
荒潟が拗ねたようにグラタンを突付く姿は、俺に親近感を与えた。
しかしそれも束の間、彼は直ぐに余裕を取り戻して話題を変えた。
「将平、おまえグラタン好きなの?」
「うん、好きだよ。」
「なんで?」
「初めて食った時、美味いと思ったから。」
「初めて食ったのっていつ?
まさか、去年の誕生日、とか言わないよな?」
「違うよ。」
俺はむっとし、勢いでまた過去の出来事を口走ってしまった。
「施設ではグラタンを作ってくれなくて、初めて食べたのが小学校の同級生の家。
泊まり掛けで遊びに行って、夕飯がグラタンだった。
凄く美味くて…。」
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