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俺が手を止めて尋ねると、荒潟がぷっと笑って言った。
「おまえ、俺の奥さんみたいだな。」
…恥ずかしい。
俺は耳まで熱くなり、下を向いたままテーブルに朝食を並べて行った。
食材は山ほどあっても、それを使える腕が無ければ御馳走にはならない。
俺が用意出来たのは、ごく普通の料理だった。
ご飯に生ワカメとネギの味噌汁、厚揚げと長芋の煮物、ホウレン草のお浸し、焼き鮭。
今まで何度も健志に作ってやった定番メニューだから失敗は無いはず。
予想通り、荒潟はこの朝食を喜んだ。
「美味いなあ、この朝飯!
おまえ、料理上手だな!」
「いや、これしか出来ないだけで…。」
「これだけ出来たら十分じゃん。
お替わりある?」
多めに作って良かった。
荒潟はご飯に味噌汁、煮物もお替わりし、本当に美味そうに食ってくれた。
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