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家に帰り、俺達は手早くシャワーを浴びた。
荒潟はなぜか急いでいる。
彼は俺に
「時間がないから、昼飯は食いながら行く。
おにぎりかサンドイッチ作ってくれ。」
とだけ言い、自分は棚から袋やダンボール箱を次々取出し、ワゴン車へと運んだ。
どこに出掛けるのかも知らされないまま、俺は朝食用に炊いたご飯が残っているのを思い出し、おにぎりを握る。
序でに目に入ったキュウリの漬物も容器に詰めていると、主がやって来て言った。
「将平、おまえ海パン持って来てる?」
俺は、この時ばかりは呆れて答えた。
「前もって言ってくれなきゃ、用意する奴なんていないよ。」
「だよな。」
荒潟は頷き、
「俺の貸すから、それを穿け。」
と言う。
俺はロフトの階段を上る荒潟を追い駆けて言った。
「あんたの海パンなんてサイズ合わないよ!
そもそも、これからどこ行くんだよ?
海水浴でもするつもりか?」
すると荒潟は振り返り、当然のように答えた。
「海でキャンプだ。」
それを聞いた俺は、荒潟を押し退けて階段を上り、一泊するのに必要な着替えを急いで用意した。
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