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俺がぽかんとしていると、荒潟がやっとこっちを見て言った。
「おまえ、屋外キャンプ初めて?」
「会社の同僚達とやった事あるけど…?」
「湯を沸かしたり、肉焼いたりしなかったのか?」
キャンプ場なんだから、当然、バーベキューをした。
アウトドア用のコンロで墨を焚き、網に肉や野菜を乗せて焼いた。
お湯は…どうしただろう?
荒潟が腕組みして俺に言う。
「俺はおまえと気持ち良く寝る事しか考えてないから、コンロやポットは持って来てないからな。」
本気か冗談かは分からないが、言われてみれば、車には寝具類ばかりが詰め込まれていた。
俺がいつまでも突っ立っているから、荒潟が痺れを切らしてこっちにやって来た。
そして傍にあった石を拾い上げ、
「これくらい大きいのを集めてくれ。」
と言った。
俺は海岸をうろつき回り、石を集める。
荒潟に、もういい、と言われて見てみると、地面には石を積み上げて作った小さな釜戸が出来上がっていた。
彼はその中に炭を並べ、枝を着火材に火を起こす。
それから上に網を乗せ、家から持って来た肉や野菜を焼き始めた。
端には小さなヤカンを置き、お湯を沸かしている。
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