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健志とは高校を卒業してから半同棲のような生活だったし、女の影なんて少しも感じなかった。 …いや、俺が馬鹿だったんだ。 振り返ってみると、思い当たる節が山ほどある。 半同棲と言っても、健志が俺のアパートで寝泊まりするだけで、俺があいつの部屋に行く事は殆ど無かった。 このアパートは俺の職場も、あいつの通う大学も近いから、一緒に住むのはどうかと何度か持ち掛けたが、健志は周囲の目があるからと、自分が住むアパートを引き払わなかった。 俺自身もゲイを隠して生活しているから、彼の意見に従った。 でも、それが女との交際を考えての事だったなんて。 健志は昔から真面目で優しく、皆から好かれているのに謙遜して主役になろうとしない男だった。 ゲイである事への後ろめたさも有るのだろうと、俺は勝手に解釈していたが。 とにかく、いい奴だから女から告られたりする。 それでも彼はきっぱり断り、俺をいつも安心させてくれていた。 その健志が…。 ある日、友人からメールが届いた。 『健志、年明けに結婚するんだろ?あいつ、直ぐにパパになりそうじゃん?だからその前に、ユウヤやサトシ誘って温泉でも行かね?』 メールを送って来たのは高校からの友人で、俺と健志がゲイだと知らず、仲良く遊んでくれた仲間だった。 社会人になってからは余り会う機会が無かったから喜ぶべき知らせのはずが、俺は愕然とした。 俺の恋人が、結婚するって?
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