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荒潟が笑いながら言う。
「海パン持って来たけど、水冷たくて入れないわ。」
俺は内心ほっとする。
荒潟のでかい海パンを穿いて泳げば、その結末は目に見えていた。
泳いでいる最中に脱げるパンツ。
そして、笑い転げる荒潟。
「そんな顔してないでビール飲めよ。」
荒潟に言われ、俺は彼の隣に腰を下ろし、クーラーボックスから缶ビールを出して飲んだ。
荒潟も飲みながら話しを始める。
「おまえ、海好き?」
「うん。荒潟さんは山より海派?」
「俺はどっちも。」
にっこり笑って彼が答える。
「自然が好きだ。
こうやって風に吹かれて、夕日を見て、起こした火で飯作って食うのが好きだ。」
俺は思わず笑ってしまった。
「それって、野生っぽくて似合ってるよ。」
怒るかと思ったが、彼は微笑を浮かべて頷いた。
「自給自足が理想だからな。
日本も良いけど、住むならもっと遠い島が良いかな…。」
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