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確かめずに居られなくなり、その日の夜に本人に会いに行くと、アパートの部屋に女もいた。
彼女と健志は床に座り、俺に向かって頭を下げた。
「…何だよ、これ?」
呆然と呟く俺に、健志が顔を上げて言う。
「彼女と結婚する。」
「は?おまえ、ゲイだろ?」
「嘘吐いて悪かった。
彼女とは1年前から付き合ってるんだ。」
俺は混乱して、返す言葉が見つからない。
それでぼんやり部屋を眺める。
洗濯物が干してある。
健志のパンツと一緒に彼女のブラジャー。
テーブルの上には揃いのマグカップ。
ベッドの上にも枕が2つ。
一発殴ってやった。
でも、それ以上は手が出せなかった。
彼女が泣きながら健志を庇ったからだ。
俺は怒りに震える拳をポケットに突っ込み、部屋から出て行くしかなかった。
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