6.

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荒潟は仏頂面で腕組みしてこっちを見ているが、俺の笑いは止まらない。 すると彼は俺からシャワーヘッドを奪い、冷水を頭から浴びせて来た。 「わあっ!やめろ! それ水だから!」 「知ってるよ。」 荒潟は言い、容赦なく俺に水を掛け続ける。 俺は頭から足の先までびしょびしょ。 ハイドを洗ってやった時点で服はずぶ濡れ状態だが、それでも冷水は勘弁して欲しい。 散々逃げ回って壁際に追い詰められた所で、漸く荒潟がシャワーを止めた。 いつも優しいくせに、このしつこさは何だよ?と思って睨み付けると、彼は急に俺の濡れた髪を指で掻き上げ、 「やり過ぎた。ごめんな。」 と言った。 俺の脳裏に、ゲイ友のあの言葉が浮かぶ。 『…俺を女扱い…。』 荒潟も、女とするようなセックスをしたから、俺を女扱いするのかな? 俺は腕を伸ばし、荒潟を抱き締めた。 荒潟も躊躇わず俺を抱いてくれる。 俺は密かに願った。 彼が本当は優しい男ではありませんように。 俺に欲情して、自分の物にしようと悪巧みを企てていますように。 この1週間で俺を懐柔し、その後も軟禁生活を強要しようと考えているのなら、俺は喜んで従うだろう。 女になんかなれないのに、俺は妄想して心を躍らせる。 楽しくて、でも辛いから、俺はわざとふざけて荒潟にしがみついた。
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