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シャワーを浴びて着替えた俺達は、ダイニングテーブルの椅子に腰掛け、冷たいお茶を飲む。
荒潟が珍しく溜め息をついているから、俺は不思議に思って尋ねた。
「ジキルに会えなくてがっかりしてるの?」
「え?ああ、それもそうだが…。」
何だ、別の問題で頭を悩ませているのか。
いつもじっと見られるから、俺も腹を探ろうと見つめると、彼が頭を掻きながら言った。
「明日の仕事のメールが来たんだが、最初の依頼と話しが食い違っているんだよ。
個人宅の窓清掃だったはずなのに、3階建てビルに擦り変わってて…。」
清掃と聞き、俺はテーブルに身を乗り出した。
「それ、ブランコ使う?」
「ブランコ?」
「高所のガラス拭きの時に、屋上から紐で吊す作業用椅子のこと。」
「ああ、たぶん…。」
俺は高い所が苦手な彼に、にっこり笑って言った。
「明日は俺が仕事を引き受けるよ。」
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