6.

6/25

1495人が本棚に入れています
本棚に追加
/507ページ
シャワーを浴びて着替えた俺達は、ダイニングテーブルの椅子に腰掛け、冷たいお茶を飲む。 荒潟が珍しく溜め息をついているから、俺は不思議に思って尋ねた。 「ジキルに会えなくてがっかりしてるの?」 「え?ああ、それもそうだが…。」 何だ、別の問題で頭を悩ませているのか。 いつもじっと見られるから、俺も腹を探ろうと見つめると、彼が頭を掻きながら言った。 「明日の仕事のメールが来たんだが、最初の依頼と話しが食い違っているんだよ。 個人宅の窓清掃だったはずなのに、3階建てビルに擦り変わってて…。」 清掃と聞き、俺はテーブルに身を乗り出した。 「それ、ブランコ使う?」 「ブランコ?」 「高所のガラス拭きの時に、屋上から紐で吊す作業用椅子のこと。」 「ああ、たぶん…。」 俺は高い所が苦手な彼に、にっこり笑って言った。 「明日は俺が仕事を引き受けるよ。」
/507ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1495人が本棚に入れています
本棚に追加