6.

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いきなり、荒潟が背後から俺をぎゅっと抱き締めた。 これには俺もぎょっとしたが、彼は一瞬で手を離し、今度は俺とジェイムの頭を順番に叩いてキッチンに去って行った。 俺は本当に訳が分からなくて、これは彼と仲間特有の通過儀礼なのか?と思った。 それでジェイムに尋ねようとしたが、彼の方が先に俺に言った。 「アラガタさん、どうしたのかな?」 「…さあ?」 ジェイムも驚いているようだから、荒潟のいつもの行動じゃないんだろう。 でも、フォローも出来ない。 それから5分もしない内に、夕食が出来た、と声が掛かった。 まるで号令のように、散り散りになっていたみんながダイニングテーブルに集まる。 俺もジェイムに促されて行ってみると、テーブルの上には唐揚げやおでん、手巻き寿司にサラダと、大量の料理が並んでいた。 俺達は好きな酒を飲み、料理を食べ、お喋りした。 営業職に就いてからも、俺は相変わらず人見知りで、自分から声を掛けるのが苦手だ。 そんな俺が彼らの輪に入るのは、相当なストレスになる。 …のだが、この集まりはちょっと異質だった。 さっきからずっと本を読んでいる年齢不詳の男は、飯を食いながらも活字に夢中だ。 女の子2人は俺ににっこり笑い掛け、皿に料理を取り分けてくれるが、面倒な質問は一切しない。 他にも年配のサラリーマン風の男やモデルのようにお洒落な若いイケメンがいたが、出過ぎた干渉をする人間は一人もいなかった。 だから俺も自分のペースで食事し、酒を飲み、会話したい時に誰かと話した。
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