6.

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俺は、健志の恋人になった女より、2人の未来に嫉妬していた。 俺が喉から手が出るほど欲しいものを、これからあの2人は築き上げて行く。 それを見せ付けられて、友達などやってられない。 俺は強くないんだよ、健志。 5年も付き合ったのに、そんな事も分からないのか? 俺は、人にも物にも執着しない。 どれだけ切望しても夢でしかないなら、追い駆けたって無意味だからだ。 でも健志は、そんな俺に期待させた挙げ句、捨てたんだ。 俺は人間で、犬や猫じゃないんだぞ! 「ニャア。」 驚いて振り向くと、山になった服の陰からジキルが現れた。 「ジキル…。」 俺が呼ぶと、猫はするりと傍に来て、膝に飛び乗った。 そして、青い瞳でじっと見る。 「…泣いてないよ。」 俺は言ったが、ジキルはざらざらする舌で俺の頬を舐めた。
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