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泉は富田を一瞥してから黒崎の目を見る。「とりあえず俺を殺そうとしてくれた事に礼を言うぜ。御蔭で周龍に一歩近付けた。
それに、雹についての情報も掴めた。あんた、七龍会が用済みになったら俺に潰させる気だろ?」
黒崎は、くっくっく、と如何にも楽しそうに笑う。
「おめえは是だから好きなんだよ。こっちの考えはお見通しかい。
しかしな。今やろうとしている俺のビジネスを潰すつもりなら、たとえお前といえど殺すぞ。
お前は中国の殺し屋なんぞにゃ殺られんだろうが、本気でお前を殺そうと思えば、うちのモンにやらせる。
出来れば俺のこの手で殺りたいもんだがな」そう言うと、黒崎はニンマリと楽しげに笑う。しかし、目は少しも笑っていない。
殺気に満ち溢れ、鋭く泉を見据えている。「泉さん!脅迫と殺人教唆の自白ですよ、泉さん!」
富田が慌てて言うが、当の泉本人は至って平気な顔をしている。アクビさえ出そうだ。
「まあそう慌てるな富田。このおっさん、こんな事言ってるが、本気で俺のタマ、殺りにはこんぜ・・・黒崎。
お前がホムラと七龍会とで、何のビジネスをするつもりなのか判らんが、俺はそんな事に興味は無い。
まあ、ロクな事じゃなかろうが、お前の毛嫌いしていた中国人と手を組むくらいだ。今ヤクザも生きてくのは大変なんだろう。
それにこの件は上からストップがかかってる。俺の管轄外だしな。
ヤクザと政治家と医者に手を組まれちゃ、どんな犯罪でもやりたい放題だろ。立件は不可能だ。
今日ここに来たのは雹に関する事を聞く為だ。それ以外は興味ねえよ。だから安心しな。あんたの凌ぎを潰すつもりは無い。
出来るとも思っちゃいない」
富田は愕然として泉の話を聞いている。
「それだけ分かってくれてんなら話を聞こう。わしの知っている事なら何でも答えてやる」
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