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「うん。それなんだがな。いつも雹とはどうやって連絡を取り合ってるんだ?」
「電話だな。携帯だが、名義は偽造の出鱈目だ。俺も知りたくてな。雹の正体を」「顔も見た事は無いのか?」
「無い。誰も雹の事を知らんのだ。ただ、化け物だという事くらいしかな」
「ふーん。天下の山王会会長の情報網を持ってしても解らんとはな。一体雹ってのは何者なんだ?」
「その七龍会の殺し屋は、雹について何て言ってた?」
「三百人以上殺してる事、毒に詳しい事、注射針を使う事、死体を完全に消し去る事。それだけだ」
「ほう~じゃあ、雹が人の心を読める事は知らんのか?」「何?人の心を読む?それは誰から聞いたんだ?」
「雹本人からだ。ある不思議な事があってな。なぜなのか訊いてみたんだ」「詳しく話してくれ」
「うむ・・・丁度十年前。わしは原子力発電所の建設推進派の政治家の後押しをしていた。
しかし地域住民の反対運動が強くてな。まあ、裏で敵対する政治家が抱えるヤクザが扇動してたんだが、
山王会としては何とかそのヤクザを潰さなきゃならんかった。しかし表立ってやりあえば、ヤクザ同士の全面戦争になる。
わしは何とかそれは避けたかった。そこでプロの殺し屋を雇う事にした。
警察は知らんだろうが、わしらの世界では、殺し屋のインターネットのネットワークがあってな。
そこに百人までなら一晩で殺すという書き込みがあった。わしはそいつが妙に気になってな。連絡して会ったよ」
「何?会ったのか?」「いや。会ったといっても顔は真っ白な面で隠していたから判らんが、
敵対するヤクザを何とかしてほしいと頼んだんだ。ほら、そこに立っておる若頭の鬼頭と一緒に行ったんだ」「ほう。それで?」
「黒竜会を完全に潰す代金として奴は一億要求してきた。一億で潰せるなら安いもんだ。わしは頼んだよ」
「その時、雹は殺し屋としての実績はあったのか?」
「いや。人を殺すのは初めてだと言ってたな」
「ほう。それでよく頼む気になったな」
「わしも戦後のどさくさの中、腕っ節一本で成り上がった男よ。それなりに武道は一通り学んだ。
そして殺しあいのケンカの中で実戦武術を自分なりに磨いた。今でもそんじょそこらの武道家には負けん自信がある」
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