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「さあ、そろそろ二次会へ行くわよ!いつもの『サンクチュアリ』に集合ね!」
いつの間にか、五十嵐響子が個室から戻ってきている。「あれ、社長は?」橘葉子が訊くと、
響子は「もう先に帰ったわ」と無表情に答えた。
サンクチュアリは安穏族から歩いて五分ほどの場所にあった。
何故かサンクチュアリAとサンクチュアリBがあって、同じビルの一階と地下に分かれている。
そして二十人ほどいた芸能人の内の十五人は地下へ、残りの五人は一階のサンクチュアリAへ入っていく。
一十三は、なぜ分かれるのだろう?と不思議に思っていた。
五十嵐響子、橘葉子、一十三、シャイニーズのアイドル二人はAの方だった。
中に入ると洗練されたデザイナーズカクテルバーとなっている。見ると全て有名芸能人だった。
しかも実力派大女優や大物歌手など錚々たるメンバーがいる。
「いらっしゃい」カウンターにいたマスターらしき男性は、響子を見ると声をかける。
「個室空いてる?六人掛けがいいわ」「空いてますよ」手慣れた様子で響子は鍵を受け取り奥へ進んでいく。
そして、ある一室に鍵を使って中へ入ると豪華絢爛な内装のテーブル席があった。
皆が座ると、すぐにウェイターが注文を取りに来る。「今日は皆タクシーで送るから、飲んでもいいわよ」
響子が言うと、皆遠慮なくビールやワインを注文する。
一十三もお酒は大好きなので、赤ワインを注文した。
乾杯し雑談に花が咲く。一十三はここで初めてアイドル二人の名前を聞いた。一人は滝川翼、二十二歳。
もう一人は神山翔、二十一歳。二人はユニットでCD売り上げナンバーワンの大人気アイドルらしい。
一十三はあまりテレビを見ないので知らなかった。アイドルというとチャラチャラしたイメージがあったが、
実際に話をしてみると、礼節がきちっとしていて、とても大人なんだなと思った。
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